What was it ???(あれ、なんやったっけ???)

ふと疑問に思ったこと、ど忘れしたことを、過去・現在その時に調べた内容をあてもなく書き留めた『雑学日記』

タイヤ脱落事故とISO

大型トラックやバスのタイヤが走行中に外れる事故が後を絶たない・・・

先日(1月12日)も

群馬県の国道を走っていたダンプカーから後輪のタイヤ2本が脱落し

1本が歩道を歩いていた男性を直撃、大動脈かい離と肝臓損傷

さらに肋骨を折る重傷を負った事故は、皆さんのご記憶に新しいかと・・・ショボーン

 

タイヤの脱落事故

「ここ10年間で約12倍に急増し、昨年度は過去最多の131件特に冬が多い

「外れるタイヤの95%は『左後輪』つまり歩道に近い側ばかりが外れる危険な確率」

 

「確たる原因はわかっていない・・・」 

が、国土交通省では冬用タイヤへの交換作業に原因があるとみており

交換の際のナットの締め付けが足りなかったり

100キロ程度走行後に再び締め付けを行う「増し締め」の作業を怠ったり

したことが脱落につながっている恐れがあるという・・・

 

本当にそれだけの理由なのか?・・・

以前、同様のニュースを見て

何故これだけ件数が増えたのか?

単なる作業の手抜きでこんなに増えるものなのか??

それだけ怠惰な日本人が増えたということなのか???と

疑問に思っていたところにある記事を目にし、とても興味を抱いた記憶が・・・

※同様の内容を下記参考URLに!

 

ISO(International Organization for Standardization/国際標準化機構)

スイスに本部がある民間の機関で「国際的な規模で標準をつくる組織

「ISO規格」を定めている団体であり、加盟国は160カ国以上2万件以上の国際規格を発行している。1カ国に1つ、同様の機関が加盟

日本では「日本工業標準調査会」が一員で、同会は永久理事会員になっている

同機関が定めているのが、国際規格である「ISO規格」

「ISO規格」とは「国際的な規模で標準を統一する規格

国によって製品の大きさや品質、安全性や機能性が大きく違うと、国際間での取引に支障が出てしまう

これらを標準化させることを目的としたものが「ISO規格」である

 

2010(平成22)年日本は、大型車のホイール規格を

国際標準の『ISO規格(方式)』へ全面的に切り替えた

それまで採用されていた日本独自の『JIS規格(方式)』では

右側の車輪の『ボルト/ナット』は『右ネジ/右締め』

左側は『左ネジ/左締め』だが

新たな『ISO規格(方式)』では左右輪とも右ネジ/右締め

 

この新規格(方式)を採用したトラックの増加と比例するかのように脱落事故が増えている・・・らしい

国土交通省も、2004年から8トン以上のトラックと定員30人以上のバスで起きたタイヤ脱落事故の集計を公表しておりこれによると

事故は2011年(11件)を底に増加に転じ

昨年は131件、過去最多を更新

直近4年間でも約2倍に急増しているらしい

 

実は海外でもこういうケースの脱落事故があるらしい

が、海外は主に走行中の車やバイクに脱落したタイヤが当たる事故

日本のように高速でトラックが走る幹線道路付近に歩道や民家等はあまりなく

こういった事故は少ないそうな※日本独特の道路事情ですね

 

タイヤの回転方向

車を運転される方なら車の右側と左側のタイヤ回転方向はおわかりだと思います

右側ホィールナット右回し(右締め)・・・タイヤの回転と同じナットが締まる方向

左側のホィールナット右回し(右締め)・・・運転(タイヤの回転)によりナットをゆるめる方向となる

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何故左の後輪ばかりが脱落するのか

近年発生したタイヤの脱落事故のほとんどが左後輪で

平均すると

右前輪:0~1%台

右後輪:10~20%台

左前輪:0~1%台

左後輪:80~90%台 と

左後輪の脱落がダントツである

 

これについても国土交通省

「原因について引き続き調査中」としつつ、次のような可能性が考えられると述べる

右折時、車は比較的高い速度を保ったまま旋回するため、遠心力により積み荷の荷重が左後輪に大きく働く
・一方左折時、低い速度で左後輪がほとんど回転しない状態で旋回するため、回転方向に対して垂直にタイヤがよじれるように力が働く
道路は降雨対策のため、センターラインが高く、路肩が低く作られており、車両が左路肩側に傾き、左輪により大きな荷重がかかる

 

また、前輪タイヤの脱落が少ないことについては、異常が発生した場合、ハンドルの振動などで運転手が気づきやすい

 

つまり、左側の車輪は右と比べて負荷が大きく

後輪は変化や異常に気づきにくいため、左後輪の脱落につながっている可能性がある。とのこと

 

ISO規格(方式)のメリット

・海外へ物を売るためには規格(方式)を同じにした方が売りやすい(国際競争力)

・規格を同じに(標準化)することにより、市場拡大とコストダウンに(合理性)

 

一方で日本は自国発の標準を世界に広めることにこだわりすぎるらしい

昨今、EV自動車における標準化の論争がメディアでにぎわっているが

実は、国際標準化機構(ISO)、国際電気標準会議(IEC)において、最初に標準化を提案した国の中で日本は十分なイニシアチブをとっているらしい・・・

 

私はJIS派ではありませんし

国際標準や合理主義に反対する訳でもありません

が、この標準は経済活動における標準であって

人命の安全における基準ではないかと感じます

 

また、一連のタイヤ脱落事故の件

徹底的な原因の究明を願うばかりです

参考URL: 乗りものニュースより(ありがとうございます)

大型車のタイヤが脱落、後続車に激突も… 冬に増加の車輪脱落、「左後輪ばかり」のナゾ | 乗りものニュース (trafficnews.jp)

参考PDF: ㈳日本自動車工業会 『新・ISO方式ホィール取り扱いガイド』より(ありがとうございます)

iso_wheel_100203.pdf (jama.or.jp)

挿絵&カバー画像:「いらすとや」さん作(ありがとうございます)